読書

ダグラス・クープランド-ジェネレーションX 加速された文化のための物語たち

ビジネス・エリートたちの拝金主義にうんざりし、都会を逃げ出した男女三人。砂漠のバンガローで独立した暮らしを始めた彼らは、自分たちの人生の価値を発見する。20世紀の終わりの、そして新しい次の1000年の始まりの世代―ジェネレーションX。その精神的生…

アンジェラ・カーター-夜ごとのサーカス

19世紀末のロンドン。翼をもった女空中ブランコ乗りフェヴァーズが語りはじめる。卵からの誕生、売春宿での少女時代、秘密クラブでのフリークショー…。やがて舞台は極寒のシベリアへ。奇想天外でポップなファンタジー。 国書刊行会の文学の冒険>シリーズなん…

ポール・オースター-最後の物たちの国

人々が住む場所を失い、食物を求めて街をさまよう国、盗みや殺人がもはや犯罪ですらなくなった国、死以外にそこから逃れるすべのない国。アンナが行方不明の兄を捜して乗りこんだのは、そんな悪夢のような国だった。極限状況における愛と死を描く二十世紀の…

アイザック・アシモフ-象牙の塔の殺人

大学の実験室で、化学の実験中の学生が毒ガスを吸って死亡する。事故死か、あるいは自殺か? 指導教官のブレイドは自ら捜査に乗り出した。しかし、殺人だとすると第一の容疑者は彼自身なのだ。大学における地位や家庭の平安までも脅かす羽目となり、ブレイド…

池上永一-ぼくのキャノン

オバァらの力で、村は沖縄でいちばん豊かになった。だが、実は絶対に知られてはならない大きな秘密があった-。復帰世代の作家が描く沖縄戦。『別冊文芸春秋』連載を単行本化。 最近池上永一の名前をよく見かけるんで読んでみた。 でもいまいちだったかな・・…

パトリシア・ハイスミス-11の物語

動物学教授のクレイヴァリングはひとり南海の孤島へ船出した。伝説の巨大かたつむりを見つけ、歴史に名を残そうというのだ。だが運よく発見には成功したものの、船が流され、彼は島でたったひとりに…。孤立無援の男を襲う異常な恐怖を描く「クレイヴァリング…

マイケル・シェイボン-モデル・ワールド

映画「スパイダーマン2」の脚本に参加したり、O・ヘンリー賞やピュリッツアー賞を獲得したりしているアメリカの作家、マイケル・シェイボンの短編集。 瑞々しい文体と巧みなストーリーが素晴らしく、どの短編も高いクオリティと面白さを兼ね備えている。 だ…

ネビル・シュート-パイド・パイパー

フランスの田舎道でパンクのため立ち往生したバスは、ドイツ軍の機銃掃射を受けて動けなくなった。これから先は歩くしかない。老イギリス人は、やむなくむずかる子供たちの手を引いた。故国を目差して! 戦火広がるフランスを、機知と人間の善意を頼りに、徒…

ジョン・クロウリー-リトル、ビッグ

大都会の彼方、とある森のはずれに、此岸と彼岸とをつなぐ一軒の広大な屋敷「エッジウッド」が建っていた。そこでは現実と空想の世界が交錯し、一族は妖精の存在を信じていた。19XX年夏のある日、一人の青年スモーキィ、バーナブルが「エッジウッド」邸の主…

スミソニアン・ミステリ

前に読んだリチャード・T・コンロイの「一寸の虫にも死者の魂」が面白かったんで、「スミソン氏の遺骨」と「インド展の憂鬱」を読む。 「一寸の虫にも死者の魂」はワシントン市民がヌーディストへと変貌し真っ裸であられもないところをおっぴろげ状態になり…

ハリー・クレッシング-料理人

豪華な城でデブレックス状態になることを夢見る料理人、わが名はコンラッド。 彼は城を所有する地元の名家、ヒル家に料理人として取り入ることに成功し、得意の料理で家の者を太らせたり痩せさせたり執事を老衰状態に追い込んだり使用人を殺したり懐古したり…

リチャード・T・コンロイ-一寸の虫にも死者の魂

スミソニアン博物館では一大イベント、民俗フェスティバルが企画されていた。民俗研究部の美女に目がくらんだヘンリーは、見え見えの下心から協力を申し出る。だが、これが、首都ワシントンをパニックに陥れた歴史的大事件への第一歩だったとは、もちろん予…

マイクル・クライトン-恐怖の存在

パリの北にあるフランス海洋学研究所から、証人と証拠を消し去ったうえで、波動力学の実験データが盗み出された。時を同じくして、マレーシアでは空洞発生装置が、ロンドンでは膨大な量の対戦車ミサイル用の誘導ワイヤーが、そしてカナダでは小型潜水艇が、…

舞城王太郎-山ん中の獅見朋成雄

福井県・西暁の中学生、獅見朋成雄から立ち上がる神話的世界。ついに王太郎がその真価を顕し始めた。ゼロ年代デビュー、「ゼロの波の新人」の第一走者が放つ最強の純文学。『群像』掲載を単行本化。 「一月は正月で人が食えるぞ、食える食える食えるぞー人が…

ジェフ・ライマン-夢の終わりに・・・

児童文学の古典的名作である「オズの魔法使い」の主人公ドロシーには、実はモデルがいた。ドロシーが孤児であったという物語の設定をヒントに、「オズの魔法使い」成立の謎を自由に空想したファンタジー小説。 「オズの魔法使い」を下敷きにした小説。 とい…

舞城王太郎-九十九十九

「苦しさを感じるなら、僕なんて愛さなくていいんだ」 聖書や創世記などの見立て連続殺人を主旋律に踊る、世界をゆるがす超絶のメタ探偵の魂の旅。ダンテの「神曲」をイメージさせる圧倒的なスケール感で迫る。 清涼院流水も佐藤友哉も読んだ事ない僕は、本…

ダン・シモンズ-重力から逃れて

アポロ計画で月に降り立った宇宙飛行士の一人であるが、年老い典型的な中年ぶとりと体力の衰えを隠せない主人公。勤めていた軍需系の会社をやめたのはいいが、妻とは離婚、息子はインドで怪しげな宗教に熱中し、アポロ計画に参加し共に月を目指したかつての…

マイケル・マーシャル・スミス-みんな行ってしまう

短編集。 G・R・R・マーティンの「サンドキングズ」とどっちを買うか迷ったのだがこっちを選んでしまった。 だけどミスったかなあ。全12短編中気に入ったのは4つぐらい。打率3割。 気に入った短編 地獄はみずから大きくなった タイトルから想起されるイメー…

舞城王太郎-熊の場所

まず字がでかいのに驚いた。小学生の国語の教科書みたいな字のでかさ。 それはさておき、「熊の場所」も「バット男」もメッセージ性とエンタメが融合してて面白い。下品なのは大好きだけど「ピコーン」は何かいまいち。 あと舞城王太郎作品のアマゾンとかブ…

舞城王太郎-阿修羅ガール

やべー泣きそうだ。泣きかけだ。半泣きだ。ううう、目が熱い-。恋するアイコがガーリッシュに悩んでる間にも世界は大混乱! 殺人鬼はグルグルだし、子供は街で大爆発。魔界天界巻き込んで繰り広げられる物語。 ん、三島由紀夫賞受賞作らしいがたいして面白く…

谷甲州-ジャンキー・ジャンクション

谷甲州の山岳小説。オカルトちっくな描写で好き嫌いがわかれそう。 僕としては、うーん・・・・・・・・・微妙かな。 オカルトや超自然的な描写って何か苦手。 ☆☆☆ ジャンキー・ジャンクションとは関係ないけど谷甲州関係のニュースを一つ。 ・谷甲州総合-星…

ジャック・フィニイ-ゲイルズバーグの春を愛す

短編集。 表題作をはじめ、ノスタルジックな短編が多いですね。 「ゲイルズバーグの春を愛す」と「愛の手紙」は傑作です。 個人的に僕が気に入ったのは「悪の魔力」。 助べえな主人公が女性を奴隷にできる腕輪を手に入れて―というお話なのだが、この主人公の…

火浦功-お前が悪い!

火浦功の短編集。いつもと調子と同じですね。 火浦功が、ある日突然空から巨大な何かが落ちてきて・・・・という短編を書こうと苦心する「信じようと信じまいと」が一番面白かった。 他の短編はこれといったものがなかったかなあ。 あと岬兄悟の解説の破壊力…

トーマス・ウォートン-サラマンダー -無限の書-

〜あらすじ〜 あるところにキチガイ伯爵が住んでいました。 キチガイ伯爵は城を所有しており、税金対策のためにその城を宇宙を想起させる構造になるよう作り変えました。 何故宇宙なのか?それは誰にも分りません。伯爵はキチガイでしたから。 そんなこんな…

エリザベス・ムーン-くらやみの速さはどれくらい

〈ネビュラ賞受賞〉製薬会社に勤め、幸せな日々を送っていた自閉症のルウは、画期的な治療法があると知らされるが......人間のほんとうの幸せとは何かを描く、21世紀版『アルジャーノンに花束を』。 ネビュラ賞受賞ってことでSFを期待して読んだんですが、自…

銀林みのる-鉄塔武蔵野線

夏休みも半ばを過ぎたある日のこと。5年生の見晴は近所の鉄塔で番号札を見つける。その名は「武蔵野線75‐1」。新発見に胸を躍らせた見晴は、2歳下のアキラを誘い、武蔵野線を遡る。「オレたちは鉄塔を辿っていけば、絶対に秘密の原子力発電所まで行けるんだ…

エリザベス・ヘイドン-ラプソディー -血脈の子-

にぎわう港町。その美しさゆえに町の有力者に横恋慕され、肘鉄をくわせたラプソディは、かれの放った追っ手から逃げていた。見知らぬふたり連れの助けで難を逃れたものの、ふたりは返礼として彼女に旅の同道を求める。じつはラプソディは、歌声によって事物…

J・G・バラード-殺す

ロンドン郊外の高級住宅地で発生した大量殺人事件。三十二人の大人全員が惨殺され十三人の子供が誘された。精神分析医グレヴィルは迷宮入りしかけた事件の調査に乗りだす。鬼才作家が現代社会の病に挑んだ予言の書。 20年以上も前に書かれた小説。 この小説…

川端裕人-The S.O.U.P.

ネット社会の落とし穴を、壮大なスケールで描いたサイバーミステリ!かつて伝説のRPGゲーム「S.O.U.P.」を開発、巨額の富を得た巧。彼はある日、ハッキングに悩む経済産業省の役人・礼子の訪問を受ける。礼子の依頼でハッカーを追う巧が見たのは、変わり果て…

マイクル・ムアコック-この人を見よ

主体性の無い駄目男がタイムスリップしてキリストを探す、というお話。 早川SF文庫から出ているがSFというよりは普通の純文学かも。タイムスリップっても舞台を過去に移動させるための道具以外の何者でもないし。 其れはさておき、この小説はSFか否かなんて…