マイケル・シェイボン-モデル・ワールド

モデル・ワールド (Hayakawa Novels)
映画「スパイダーマン2」の脚本に参加したり、O・ヘンリー賞やピュリッツアー賞を獲得したりしているアメリカの作家、マイケル・シェイボンの短編集。
瑞々しい文体と巧みなストーリーが素晴らしく、どの短編も高いクオリティと面白さを兼ね備えている。


だが何つっても僕は「人間以上」に胸を打たれた。
シオドア・スタージョンのミュータントを扱った同名SF小説からタイトルを借りた、僅か9ページの短編なのだが、マイケル・シェイボンのSFに対する愛情が滲み出ていて思わずグッときてしまったのだ。
図書館めぐりをしては、昔に夢中になったSF小説――「スラン」「破壊された男」「発狂した宇宙」などを息子に読ませようとする父親と息子の物語なのだが、妻との不和で離婚寸前だが中々それを切り出せない父親と、それとなくその事に気づいてる息子との対話がすごく良い。


「もしぼくがミュータントだったらさ、パパとママはちゃんとぼくにそう言ってくれる?」
「いいや。たぶん、おまえが自分で気づくようにするだろう」
「じゃあぼくはもう知ってると思うな」


・・・せづねえ。
☆☆☆☆☆