火浦功-お前が悪い!

お前が悪い! (角川文庫 (6115))
火浦功の短編集。いつもと調子と同じですね。
火浦功が、ある日突然空から巨大な何かが落ちてきて・・・・という短編を書こうと苦心する「信じようと信じまいと」が一番面白かった。
他の短編はこれといったものがなかったかなあ。


あと岬兄悟の解説の破壊力がすげぇ。
だってこんな内容ですよ。

たとえば服装も知識も外見もライフ・スタイルもセンスがいい友人がぼくの部屋に遊びにきて本棚を見たとする。
(中略)
ところが、本棚に火浦功の本を見つけたとする。
その友人はすぐに抜き出して手に取り、パラパラとやり、ぼくの顔を見る。
「ふうん火浦功の小説を読んでるのか。おれも読んでるぜ」
といって微笑し、頷いてみせたりするにちがいないのだ。
(また中略)
つまり、火浦功の小説を読んでるおれたちゃセンスがいいんだぜ、と二人してナルシスティックな満足感に浸ってしまえるのである。

これは高度なギャグなのだろうか?
本気だとしたら岬兄悟はかなりヤバイよ。馬鹿SFの読みすぎ・書きすぎで精神に変調をきたしてしまったに違いない。