マイクル・ムアコック-この人を見よ

この人を見よ (ハヤカワ文庫 SF 444)
主体性の無い駄目男がタイムスリップしてキリストを探す、というお話。
早川SF文庫から出ているがSFというよりは普通の純文学かも。タイムスリップっても舞台を過去に移動させるための道具以外の何者でもないし。


其れはさておき、この小説はSFか否かなんてどーでもいい事を思いっき凌駕してしまう面白さ。
主人公であるカール・グロガウアーの現在と過去を描く構成も見事であり、カール・グロガウアーその人の人間性の描写も見事。
社会不適合者であり、多少の神秘主義に染まっているカールの苦悩。こうして書くと薄っぺらく感じられちゃうけど、実際読んでみるとスゴイんです。

そして衝撃のラストシーン・・・・。途中から落ちは大体読めてしまうものの、これは一見の価値あり。落ちとかそういう物が意味のある小説でもないしね。
久しぶりに小説読んで衝撃を受けた。これが絶版になってるのは明らかにおかしいぞ。
☆☆☆☆☆