カート・ヴォネガット-モンキーハウスへようこそ(1・2)

モンキー・ハウスへようこそ (ハヤカワ・ノヴェルズ)

日に三回の道義避妊ピルの服用、そして街角には自殺ホーム―人口過剰の未来社会でとられた政策は、セックスの禁止と自殺の奨励だった。だが、性の解放を謳う反逆者が、一人また一人と現われる…。表題作はじめ、役を演じるたびにその人物になりきってしまうアマチュア役者ハリーと、かれに恋する女性ヘリーンとの一風変わったラブ・ロマンス「こんどはだれに?」、十六人の生命を賭けて共産ゲリラの隊長とチェスをさすアメリカ人大佐の苦悩を描く「王様の馬がみんな…」など、ヴォネガットの多彩な魅力を結集した傑作短篇集、待望の文庫化。

カート・ヴォネガットの短編集。玉石混合って感じだけれども「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」よりは面白かった。
SFちっくな短編よりも普通小説な短編の方が面白いってところがヴォネガットらしいかなあと思ったり。
スーパーコンピュータが人間に恋をしてしまう「エピカック」なんて本当にヴォネガットが書いたのかと思うほど凡庸な作品。世界平和を目指す超能力者を描いた「バーンハウス効果に関する報告書」も以後につながるヴォネガットの戦争観が垣間見れるという点では興味深いけど、これまた平々凡々としている。
逆に普通小説の「手に負えなかった子供」や「孤児」、「王様の馬がみんな」などはとても良くて、思わずこみ上げてくるものがある。
☆☆☆