桜坂洋-スラムオンライン

ゲームに時間を費やすのは無駄だ。保障する。ネットゲームは特に無駄だ。これも保障する。だけれど、ゲームに時間を費やすというのが無駄というのなら、リアルな世界で時間を費やすのがゲームより有意義な理由はあるのだろうか？

こんなお話。
ハヤカワJA文庫から出てるくせに全然SFじゃないオンライン格ゲー青春小説。中々面白かったけど、SFの方向にオンライン格ゲーの方面から攻められそうなのに何故か全然突っ込まれなかったのが残念（確か今の技術じゃ一瞬一瞬の見切りとコマンド入力が必須の格ゲーは実現不可能なんじゃなかったけかな？）
でも格ゲー描写は極めてリアルだし、何よりも駄目人間モノとして面白かったですね。
だが個人的に終わり方がちょっとダメだった。青春小説だから仕方ないとは言え、主人公はあそこで妥協するなっつーの。
SF者の端くれとしては「愛って何か知ってる？」等と聞かれれば「少年は犬を愛するものさ」と答えてどっかに犬と旅立つ物だといことを妄信してるし、同じくそったれなゲームに没入してる駄目人間を描いた小説ならギブスンの「ドッグファイト」みたく駄目人間なら駄目人間なりのくそったれで惨めな終わり方を迎えて欲しいと思うのです。それが一番正しいのです。それにこれは彼女が主人公に惚れる理由もイマイチはっきりしないし何なんだか説得力に欠ける。

全体的には面白かったんで、そこだけが残念。