チャールズ・ブコウスキー-ブコウスキーの「尾が北向けば・・・」

ブコウスキーの「尾が北向けば…」―埋もれた人生の物語
やっぱブコウスキーは最高だわ。
短編集で、ショートショート並みの短さの短編もあったりするんですが、どれもこれも星新一ショートショート三原則(セックス、暴力、時事ネタ禁止)を見事に蹴破ってくれてます。さすがだ。


中でも「上流階級のオンナ」はものすごい傑作。
ブコウスキーことヘンリー・チナスキーがアーネスト・ヘミングウェイをボクシングで打ち倒し、トマス・ウルフを足蹴にする上流階級のオンナと一夜を共に。そんでもって一夜明けたら小説家としてのデビューも決まってましたとさというお話。

「チナスキーさんですか?」
「そうだけど」
「短編を読ませてもらいました。興奮のあまり、一晩中眠れませんでしたよ。正直な話、ここ十年で最もすばらしい文才、天才ですよ」
「ここ十年だけ?」
「いや、おそらく百年でしょう」
「そっちのほうがいいな」

どこからどうみても自己満オナニー小説で他の作家がこんなのを書いてるのを読んだら即座に本を投げ捨てるだろうけど、なぜかブコウスキーなら許せる。

同じくチナスキーが主人公の「世界中のすべてのケツの穴とおれのケツの穴」も傑作。
☆☆☆☆☆