阿部和重-ABC戦争

ABC戦争―plus 2 stories (新潮文庫)

はじまりはN国・T地方・Y県の通学列車。不良高校生の些細な喧嘩がなぜヤクザを巻き込む全面抗争にまで暴走したのか?あの“戦争”から数年後、執拗に真相を追う青年の姿は、あたかも探偵であり、暗号解読者であり、哲学者であり、そして小説家でもあり…。世界の激動に曝され、迷走する日本を鋭く転写する「ABC戦争」他、文学の最先端で闘い続ける著者の初期ベスト作品。

私も阿部和重と同じくY県出身である。さすがにH市生まれというところまでは同じではなく、私はT地方Y県の中心近くにあるO町生まれである。
したがって本書「ABC戦争」において戦争が勃発したO本線よりはA線に馴染みが深く、かつてO本線の三両目であったH市とM市の不良の対立なんて知るはずもないのだ。それにまず田舎の中での都会という微妙な立場をめぐるH市とM市とT市とY市のやっかみまじりの構造関係もよく知らないし、そんなもん無いんじゃないんかとも思う。しかしそんなことは問題じゃない。抽象と具象の間を行ったりきたりしながら終盤のくそ馬鹿馬鹿しいラストスパートに突入する阿部和重の手腕はすげえの一言。
投げっぱなしジャーマン気味のラストもまあ許容範囲。とブいベうバかビすベきボでビすバ、こバうバいビうブのバ。
☆☆☆☆