古川日出男-ロックンロール七部作
ロックでポップな、新たなる20世紀神話。
"あたし"が語るのはロックンロールの誕生と隆盛。爆発的に広がるロックを追いかけつつ、物語は20世紀という時間、七大陸という空間を呑み込んでゆく。壮大なヴィジョンで描き直す新・20世紀史。
「ベルカ、吠えないのか?」の犬をロックンロールに置き換えただけの小説。
怪犬仮面みたいな脳髄まで痺れるマッドキャラはいないものの、ロックンロール第三部に登場する極限馬・血のしたたる熊・悪い肝臓・赤いエルビス・怒りのチョウザメあたりはいい感じに狂っていて良いですね。
真面目な話も十二分に面白いんですけど、やっぱり馬鹿話が最高。
だもんで武闘派の王子様対武闘派の王の戦いを描くロックンロール第六部と、先にもあげたシベリア鉄道ロックンロールの第三部が一番楽しめた。
第三部のボルシチを食べてロックの魂に覚醒するシーンは、映画「過去のない男」で主人公が電車の中無表情に寿司を食べながらクレイジー・ケン・バンドの曲を聴いているシーン並に痺れましたわ。(よくわからん例えだな・・・)
☆☆☆☆