火星ノンストップ(ヴィンテージSFセレクション 胸躍る冒険篇)

火星ノンストップ (ヴィンテージSFセレクション―胸躍る冒険篇)
山本弘編集のSFアンソロジー
"ヴィンテージSFセレクション"ってことで30〜60年代に書かれた古いSFを収録しています。


・ ジャック・ウィリアムスン-火星ノンストップ
うわー、火星にいる謎の宇宙人が地球から空気を奪っているぞ!
このままじゃ人類はおしまいだ!早く火星までいけるロケットを作らなくては!


Q.このような人類の危機に際して、旧式のプロペラ機乗りの主人公が下した結論とは?







A.プロペラ機で火星に行って謎の宇宙人をやっつける
いや、もうマジですごいSF小説です。
あらすじだけを見るとただの馬鹿話。だけど読んでみるとこれがスゴイ。
ここまでセンス・オブ・ワンダーの持つ力強さだけで真っすぐに突っ走られると、「火星までプロペラ機で行けるわけねーだろ!」なんて些細な疑問はすぐにふっ飛びますね。
それにヴィジュアル的にも滅茶苦茶カッコいいしなあ。
こういうSFって大好きだ。


・ マレイ・ラインスター-時の脇道
パラレル・ワールドというアイディアを始めて提示した作品だそうだ。
それだけでもスゴイし面白い小説なんだが、個人的には登場するミノット教授ってキャラがいい感じにキチガイで大好き。
ローカル大学のしがない数学担当の教授だったんですが、パラレル・ワールドと自分達の世界が干渉しあうようになってからは大変貌を遂げちゃうですよ。
うげー。


ミノット教授語録

「わたしについてくる心の準備があるものは、そう言ってくれ。その気のないものについては(中略)即刻、射殺する!」
「わたしはその世界の皇帝となるのだ!」
「これが最後だ、わ、わたしはお前に約束する―富と権力と女たちをな」

誇大妄想のキチガイがだんだん小者になっていく過程がサイコー。


・ C・L・ムーア-シャンブロ
H・P・ラヴクラフトが大絶賛し、野田宇宙大元帥シャンブロウを車の名前にするぐらい気にってるらしいが、個人的にはいまいち。


・ ポール・アンダースン-わが名はジョー
普通。


・A・E・ヴァン・ヴォクト-野獣の地下牢
ヴァン・ヴォクトらしい派手なハッタリが素晴らしい。
人間の姿かたちを真似るモンスターって設定は岩明均寄生獣」の元ネタっぽいですね。


・ アラン・E・ナース-焦熱面横断
普通。


・ コリン・キャップ-ラムダ1
普通。


総評
読んどいて損はないですね。
というか普通にお勧めです。