ブライアン・オールディス-スーパートイズ

スーパートイズ
スタンリー・キューブリックの跡を継ぎ、スピルバークが完成させた映画「A.I.」の原作スーパートイズを収録した短編集。
僕の中ではブライアン・オールディスは「地球の長い午後」に代表されるニューウェーブSFの作家だって印象があったので、意外と内容がバラエティに富んでいて驚いた。


スーパートイズ
「いつまでもつづく夏」「冬きたりなば」「季節がめぐって」の三篇からなる、愛玩用ロボット・デイヴィッドと愛を巡るお話。
アイディア自体は20年前の小説ってこともあり使い古されているが、面白い。
この人の描き方の魅力だろうか。


遠地点、ふたたび
太陽が遠くに行ってしまうよ!どうしよう!
イアン・バンクスならその状況ををフィアサム・エンジンで解決するのでしょうが、オールディスの発想は一味も二味も違う。
男と女がまぐわって、その熱で地球を暖めればいいじゃん!と。
ある意味神話的ともいえるが、バカな話にしか見えなくて好き。


満ち足りた人生なんてどこにある
落ちがさいこー。
最後の一行が寝取られ男の悲哀をさそいますね。
「満ち足りた人生なんてどこにある・・・・」


銀河ゼッド
イメージの素晴らしさ、この小説の良さはその一点にある。
わけが分らなくたっていいんです。俺がハマーだ!の名セリフ「大丈夫、理屈じゃないんです」を体現した作品でもある。
まさにセンスオブワンダーだなあ。


白い火星
テラフォーミングされた火星の歴史を対話形式で語るというお話。
ニューウェーブとしか言いようがないかな。
これもまた湧き起こるイメージが素晴らしい。




他にも普通小説やら幻想小説ならショート・ショートやらがあって楽しい。文庫本にもなっているがハードカバーの方が収録作品が多くてお勧め。
☆☆☆☆