荒俣宏-理科系の文学誌

理科系の文学誌

「科学こそが幻想である」。19世紀ヨーロッパの博物学に豊かなイマジネーションを見出す著者が、ニュートンからバラード、ディックなどSF・幻想文学を科学の眼で読み解く。

面白い!
面白すぎて荒俣宏ってやっぱりすごいな、と再認識しました。ただ博覧強記なだけではなく、洞察力と文章の構成力も抜群ですね。
特に「言語の宇宙へ」と「物質の未来を求めて」が面白い。「言語の宇宙へ」ではバベル-17、ガリバー旅行記山椒魚戦争を取り上げるのだけれども、前の二つはともかく、山椒魚戦争が言語学の見地から読み解けるとは考えもしなかったので目から鱗が落ちました。
「物質の未来を求めて」で語られる結晶世界とピンチョンのエントロピーについての考察もスリリング。こんな風に読めるのかとセンス・オブ・ワンダーを感じました。