チャールズ・ブコウスキー-パルプ

パルプ (新潮文庫)

ニック・ビレーンは、飲んだくれで、競馬が趣味の超ダメ探偵。ところが、そんな彼に仕事が二つ転がり込む。ひとつは死んだはずの作家セリーヌをハリウッドで見かけたから調べてくれという“死の貴婦人”の依頼、もうひとつは“赤い雀”を探してくれという知人の依頼。突然の仕事に大張り切のビレーンは、早速調査にのり出すのだが…。元祖アウトロー作家の遺作ハードボイルド長編。

カズオ・イシグロの「日の名残り」を読んで一息ついた後、この「パルプ」を読み始めたら「日の名残り」の余韻が完全に吹き飛んでしまった。
本作の主人公:ニック・ビレーンの無軌道っぷりにはもう脱帽するしかない。1ページ目のセリフ「ジッパーを閉めなさい」この時点で自分はすでにノックアウトされ、それからは史上最低の私立探偵ビレーンと一緒にブコウスキーの手のひらの上を走り回るほかはない。
何と言ったらいいんだろ、火浦功の「アルツ・ハマーに伝言」のハードボイルド成分を薄めて変わりに馬鹿成分と女のケツをぶち込んだというかなんというか。
とにかく僕は大好きだ。投げやりで馬鹿馬鹿しくて笑えてちょっぴりブラックで、言う事なし!
☆☆☆☆☆