イタロ・カルヴィーノ-不在の騎士

不在の騎士 (河出文庫)

中世騎士道の時代、フランス軍勇将のなかにかなり風変わりな騎士がいた。甲冑のなかは、空っぽ……。空想的な《歴史》三部作の一つで、現代への寓意を込めながら奇想天外さと冒険に満ちた愉しい傑作小説。

存在論とかなんかそういった感じの哲学的問いかけは割りとどうでもよくて、ただイタロ・カルヴィーノの語りに身を任せてニヤニヤ笑いながら読んでました。
騎士道を体現する騎士の中の騎士アジルールフォの正体が空っぽの鎧だ、ってところが存在論とか騎士道批判につながっていくんでしょーけど、騎士道ってもタルカスとブラフォードとそれにモンティパイソンのホーリーグレイルぐらいしか連想できない僕にはあんまり面白くない。
武士道に置き換えると虎眼先生の中身が空っぽだっていうことに近く・・・ねえか。
それなら小林正樹の映画「切腹」のラストシーンに出てくる鎧兜の方が”空虚な武士道・騎士道批判”というテーマ的にも「不在の騎士」に似ているかなあ。
☆☆☆☆☆