ルーディ・ラッカー-ウェットウェア

ウェットウェア (ハヤカワ文庫SF)

『ソフトウェア』の騒動から30年。スタアン・ムーニーと名前を変えて、月で探偵稼業にいそしむステイ=ハイに、ユカワ博士から女性助手の行方をさがしてほしいと依頼があった。遺法の麻薬"マージ"がらみの事件らしい。"マージ"は人体のタンパク質をどろどろに溶かし、この世のものとも思えぬ法悦境を味わわせるという代物。しかもロボットがこの麻薬を悪用し、人間・ロボット双方を超越する存在をつくりだそうとしたことから、ムーニーはとんでもない事件に巻きこまれていく…。ディック記念賞受賞のシュールでポップな正統派マッドSF。

ラッカーのウェア4部作の二巻目。
前作よりマッドかつポップに、んでもってぐちゃぐちゃのセックスとドラッグとキチガイが跳梁跋扈右往左往、黒丸尚さんの訳の素晴らしさもあって糞最高な仕上がりに。
大森望曰く「怒りっぽい人にはちょっとおすすめ、善良な人には中くらいおすすめ、性格の悪い人、口の悪い人には大おすすめの、80年代文学の掉尾を飾る大傑作。括目して読め」とのこと。
大森望の褒め文句は当てにならない、とよく言われていますがこれはマジです。
ラッカーの狂った部分とテーマ性(人間と機械というディックや神林長平っぽい代物)が見事に融合してます。
ラストシーンなんて他の作家じゃこうは絶対書かないような狂い具合でとってもステキ。
どうやったらこんなのを数学者が書けるんだろ。
☆☆☆☆☆