フィリップ・K・ディック-マイノリティ・リポート

マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)
マイノリティ・リポートと追憶売ります(トータル・リコール)という二つも映画化されている短編が収録された短編集。お得です。
だが個人的に一番面白かったのは「水蜘蛛計画」
小説としては他の短編の方が優秀なのかもしれないが、水蜘蛛計画はディックらしからぬユーモラスな短編でニヤニヤ笑いが止まらなかった。
まずSF作家=プレコグというアイディアが素晴らしい。しかもそれに絡んでくるのはポール・アンダースンやディックが大好きなA・E・ヴァン・ヴォクト!これでつまんなくなるわけは無い。
他にも名前だけの物を含めて、アシモフブラッドベリハインライン(ディックはハインラインから金を借りた事がある)など時代を反映したSF作家がずらり。
完全にSFファン向けの小説で人を選びますが、僕は大好きです。
それに他の短編も及第点以上の出来だしね。
☆☆☆☆☆

フィリップ・ホセ・ファーマー-わが夢のリバーボート

わが夢のリバーボート (ハヤカワ文庫 SF 331 リバーワールド 2)
リバーワールドシリーズの2巻目。
前作「果てしなき河よ我を誘え」の主人公リチャード・F・バートンからバトンタッチされて今回の主人公はサム・クレメンスことマーク・トウェイン
仲間は猿人から失地王ジョン、リヒトフォーフェン(っても有名な第一次世界大戦中に80機あまりを撃墜したレッドバロンじゃなくてその弟)、剣豪シラノ・ド・ベルジュラック、オディッセウスなどなど。
そして敵は黒人だけの国・ソウルランドを建国しようとするハッキングや何とあの徳川家康までも登場!
(でも家康の作った国の名前が「イエヤスジョー」ってのは如何なものか。それに悪役だし)
今回も奇想が冴え渡って面白いことこの上なし。
気になる事といえば、あまりにも人が出すぎて収拾が付かなくなってきそうな事ぐらいかな。
途中でオーケストラを作ると現れたウォルフガング・アマデウスモーツァルトやトウェインのミシシッピー時代の友人は一体どうなったんじゃい。


続編である「飛翔せよ、遥かなる空へ」が読みたい。だが、悲しい事に絶版なのよね・・・・。
古本屋巡りするしかないか。ああ、難儀だ。
☆☆☆☆