ジェフ・ヌーン-花粉戦争

花粉戦争 (ハヤカワ文庫SF)

犬人間のタクシー運転手が殺された。しかも、口から大量の花を生やした奇妙な状況で。捜査にあたる女刑事シビルは、テレパシーで被害者の最期の意識にアクセスしそこで読み取ったボーダという少女の行方を追いはじめる。だが、それはのちに街を騒がせる「花粉侵入」事件の、ほんの序章でしかなかった―混血種やロボットが闊歩する未来世界を舞台に、英SF界の寵児が特異な感覚で描いた傑作サイケデリック・ノヴェル。

ヴァートシリーズ第二弾。前作「ヴァート」から数年後の世界が舞台となっている。深刻な出生率の低下を受け、イギリスはマンチェスターで大豊穣薬十号というウルトラスーパーバイアグラがばら撒かれてしまいます。それを摂取した男は人間だろうが犬だろうが死体だろうがところかまわず種付けをしてしまい、本物の純粋人間が希少種となってしまうまでに混血が進み・・・ってお馬鹿設定にヴァートというガジェットと現実と物語世界(ヴァート世界)との戦いが複雑に絡み合ってくるんでもう滅茶苦茶です。ジェフ・ヌーン未来少女アリス」の原型っぽい不思議の国のアリスが突然現れては主人公にぶっ殺されそうになるしで、もうどうにでもしくれ!と叫びだしたくなるぐらいに混迷を深めるストーリー展開。思わず前作みたいにメタ落ちじゃねんだろうなと予測したところ意外と普通のLOVE IS OVER的終わり方でそれはそれで呆気にとられました。
面白かったといえば面白かったけど、このストーリーで500Pはきつい感じが。もう少し贅肉をそぎ落としたほうがスタイリッシュになったのではないだろうか。
☆☆☆